Lifestyle特集

「投票してくださいなんて言えなかった……」。元AKB岩田華怜さんが語る3.11

毎年4月号「私たちの CHALLENGE Dailytechnews」では震災について取り上げていますが、今年のテーマは「大人になった、東日本大震災の子ども達」。私がお話を伺ったのは、元AKBで現在は女優として活躍する岩田華怜さんです。誌面では、ご自宅の部屋の様子がわかる写真とともに祖父母宅での避難の様子、故郷への想いを中心にお話を書かせていただきましたが、実はもっともっと書きたいことがありました。取材中思わず涙してしまった、岩田さんの偽りのない言葉……。震災後すぐに上京してAKBの活動をすることになった彼女の苦悩とこれからについて、今回はお伝えできればと思います。

――震災後すぐにAKBの最終オーディションがあったんですか?

こんな地震が起こってしまった以上は無理だなって……。自分の中で“受けない”と決めていました。その当時すごくAKBになりたかったわけではなかったし、きっとこんな中途半端な気持ちだから神様が“やめておきなさい”って言っているのかなって。でも母に『心配しているだろうから、オーディション中お世話になった人に連絡だけはしなさい』と言われ公衆電話へ。いつもなら全然人がいない山のうえの公衆電話なのに、このときは2時間並びました。辞退を伝えるつもりだったのに電話で励まされちゃうし、母には『ここでやめたら何も残らないけど、もしAKBになれたら復興に貢献できるかもしれないよ』と言われ、後日オーディションを受けたんです。自分が有名になって貢献するというより、高橋みなみさんとか、前田敦子さんとか皆が会えて嬉しくなるような先輩方と一緒に帰って来られたらいいなって。

――最初から地元宮城のため、東北のためという気持ちが強かったんでしょうか?

そうですね、それしかなかったです。上京して中学校から東京だったのですが、急に田舎娘が東京に行っても全然上手くいかないんです。“震災枠”とか言われちゃったこともありますし……。

――震災枠ってどういうことですか??

要はAKBの復興支援活動において当事者がいた方がいいから、震災を経験した私は特別枠で合格したのではないかという意味です。もちろんそんな特別枠はないですよ! 中学ではAKBだとわかった途端いじめられました。その子たちからしたら「被災者だと思ったら、なんだアイドルかよ」ってことなんだと思います。でも故郷を逃げ出すように上京することになっちゃったので、このまま帰るわけにはいかないって、その一心です。

――それは辛い……。小学校の卒業式はあったんですか?

ありましたし、行きました! でもそのときはAKBになることをまだ公表できなかったので、上京することも友達に言えなくて……。基本は同じメンバーで中学に上がるので、みんな「また新学期でね」って感じで笑顔なのに、私ひとり号泣して変なふうに思われていたかも(笑)。

――辛くても故郷があったから頑張れたんですね。だってAKB総選挙見ていたらすごい人数がいるし、あの中で頑張るってすごい!

自分の中でまず“東北”があり、常に復興のシンボルになっていかなきゃいけないという思いが強くありました。でもそれがひっかかって全力でできなかったのがAKB総選挙です。いろいろな投票の仕方があるんですけど、基本はCDを1枚買って1票入れるのでCD代の1,000円がかかるんです。AKBになって初めての総選挙……きっと仕事の幅も広がるし、有名にもなれるし、めちゃめちゃ上位に入りたいですよ。でもそんなときSNSで故郷の人から「CD買いたいんだけど、CDショップ流されちゃったし、お金もないから投票できなくてごめんね」っていうコメントがたくさんきたんです。それを見たときに、私は何のためにAKBやっているんだ? こんなことを故郷の人に言わせるためにAKBをやっているんじゃないって思ったんですよね。それからは投票してくださいってことは一切言わずに「お祭りなんで楽しみましょう」とだけを言うようにしていました。口が裂けても自分から投票してくださいとは言えなかったな……。東京のファンの方から「もっと頼ってほしい」という嬉しい言葉をかけてもらったので、卒業を決めた5年目の総選挙で初めて「最後にわがままを言わせてください。選抜に入りたいです」って言いました。でも急に言って選抜に入れるほど甘くない (笑)。それでも59位になることができました。胸を張って言える59位!!支えてくれたすべての方に本当に感謝しています。

――そんな想いを抱えていたなんて……(涙)。AKBとして被災地を見た5年を振り返っていかがでしょうか?

被災地が元気になっていく実感はありました。でも復興にはまだまだ時間はかかるし、未だ傷が癒えない人もたくさんいる。こればかりは一概には言えないので……。私はすぐ上京しちゃったので、避難生活も少ししかしていないし、そういう意味では私が何か語るたびに“あなたより私たちのほうが辛かった”って思われているのかなぁとか考える部分はあります。でもせっかく発信できる立場に置かせてもらっているので、ちょっとでも知っていただけたらという気持ちでお話ししています。

――発信といえば、今年1月サッカーの香川真司選手などと一緒に「みやぎ絆大使」に就任したんですよね。

そうなんです。本当に嬉しい。でもまさか香川選手と岩田華怜の名前が並ぶ日が来るとは。AKBを卒業しても変わらず思うのは、“故郷の人たちに見てほしい”とか“東北を活気づけられることはないかな”とかなんです。私は舞台が多いので普段は故郷の人になかなか見てもらう機会がないんですけど、全国放送のテレビに出ると『宮城県出身の岩田華怜ちゃんがテレビに出てる』とかつぶやいてくれて……。そういうのを見ると、テレビや映画など全国で見られるものにもっと出て、喜んでもらえたらなとも思います。あと今撮っている東北の写真でいつか写真展もやりたい! 故郷を支えるひとりになれるよう頑張っていきます。

岩田さんが撮影した写真。みやぎ復興情報ポータルサイト内の連載で写真を通して発信を続けている。

宮城のため東北のために頑張る岩田さんの活躍を楽しみに、これからも応援させていただきます! 4月号の誌面もぜひご覧ください。

篠原亜由美
FROM篠原亜由美 家事・育児のリアルな企画から法学部出身を生かした社会派企画まで幅広く担当するべく奮闘中の5年目ライター。家では、中3娘と小6息子の学校や塾の提出書類の出し忘れに怯える日々。今無くなったら困るものは“全ての手紙を張り付けている冷蔵庫の扉”。
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