DigitalistLifestyle

『エール!』を送るほうも、送られるほうも。

フランスの田舎で酪農を営むベリエ家は、高校生の娘ポーラ以外は全員耳が聴こえない。両親と弟の代わりに耳となり口となって家族の生活を支えるポーラには、自分でも気づかない歌の才能があった。音楽教師にその才能を見出され、パリで本格的に歌を学びたいと夢をふくらませるポーラだが―――。


 

とにかく個性的なキャラ揃いのベリエ家。なかでも母親は強烈で、正直これが自分の親だったらいろいろトラウマになるかも・・・と思う場面すらありましたが、でもその開けっ広げな陽気さがベリエ家のエネルギーとなっていることも確か。耳の聴こえない家族も、そして唯一聴こえるポーラも、自分の置かれた環境や境遇を悲観したりいじけたりはしない。その人生を諦めないたくましい姿勢は本当にあっぱれ。

 

パリの音楽学校へ行きたいというポーラの夢を知り、衝撃を受ける家族。母親はあまりのショックから、感情むき出しでポーラに当たります。こどもの夢を応援してあげられないなんて、このお母さんって結局ただの自己中!?と思ったりもしたけれど。我が子だからこそ、こうなっちゃうんだよね。誰よりも応援してあげたい、理解してあげたい、寄り添ってあげたい。そしてもしボロボロになったときには、いつでも安心して戻ってこられる場所でありたい。それなのに、いろんな感情があふれてしまう。一番信じてあげたいのに、心配ばかりしてしまう。そんなどうしようもなさをぶつけてしまうのも、やっぱり家族だから。

学校のコーラス発表会で、耳の聴こえない家族がポーラや会場のみんなから受け取ったもの。「あなたの歌も聴いてやれない、ダメな母親でごめんね」という母の本心。そしてポーラが家族に向けて、手と声と心で歌い上げる「青春の翼」。「パパ、ママ、僕は旅立つよ。逃げるんじゃくて、飛び立つんだ」という歌詞が、そしてポーラの美しくせつない歌声が、胸に迫ります。

 

それにしても、若い子たちが恋したり、夢に向かって頑張ったりしてる姿って、なんて可愛いんだろう!ただ友達と楽しそうにおしゃべりしてるだけだっていい。心の葛藤に押しつぶされそうな多感な時期の子たちが泣いたり笑ったりして生きている姿は、それだけでキラキラしていて、ものすごく意義のあること。

歌っているときのポーラの幸せそうな顔。ただそれを見ただけで、素直に、まっすぐに、がんばれー!ってエールを送りたくなる。

 

映画館で思いっきり泣いて笑って、そしてフランスで奇跡の歌声と称賛されたポーラ役アンヌ・エメラの歌がいつまでも心に響く、可愛らしくてあったかい作品です。

中林直美
FROM中林直美 渋谷の映画館でもぎりをしつつミニシアターブームに傾倒した学生時代。大学卒業後は大手映画会社で約10年勤務。映画と旅が好き。 https://www..com/naomi_nm_/
記事一覧を見る >
\ この記事をシェア /
Dailytechnews web この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
Follow us

FEATURE

Aug
18
今日の40代おしゃれコーデ

久しぶりに会う友達とのランチ。気負わない大人の【ワントーン】コーデで[8/18 Sun.]

PICK UP

PRESENT

N.O.R.C(ノーク)の「秋色ブラウス」を計6名様にプレゼント!

MAIL MAGAZINE

サイトの最新情報をはじめ、雑誌Dailytechnews最新号のご案内、プレゼント情報などをメールマガジンでお届けいたします。

MAGAZINE

2019年9月号

Андрей Курганов Анатольевич донецк